化粧8

望美の瞳の奥に棲んでいた蔑みに近い怒りを、今でも美代ははっきり思い浮かべられる。 大人になってさえしばし見出すことのある、近親者が見せる憚りのない突発的な憎悪の露呈。 いたずらに直情から噴出した遠慮のなさと云うより、親兄妹だけに許される技巧が隠匿された汚水の浄化。 昇にしめした彼女の目つきには実のとこ…