美の特攻隊

てのひら小説

夢の情景

わたしはほぼ毎夜、夢を見ます。

 

村上春樹氏は「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」と、語っていますね。なかなか言えそうで言えない言葉だと思いました。

夢の解釈やお告げはさておき、今日はよりすぐりの夢のお話をしてみましょう。

なんて、ひとの夢ほどくだらない代物はありませんけど、そこはひとつ多めに見ていただいてですね、怪しとロマンの世界に片足だけでも踏み入れて下さいな。

 

どうして、熱帯魚みたいな、しかもかなり大きな魚をつり上げる光景に立ち会っているんだろう。

わたし自身が釣り竿を手にしていることもあれば、ただ漫然として、川か沼かよく判別できない水面を眺め、不敵なほど悠々と泳いでいる魚に脅威を感じることもあります。

脅威といっても逃げ腰ではなくて、どこかうしろめたさを含んだような、罰が悪そうで、照れ隠しみたいな、つまり動揺なんでしょう。

で、その動揺の真相を探るのが夢分析なんですけれど、独断と偏見にそそのかされ、興趣と憧憬がぎこちなく混ざりあい、お決まりの欲望論に落ちてゆく様よりも、何枚かの写真を見つめてもらった方がよろしいかと思われますので、解説は抜きにして先へ進めたいと思います。

 

今日は久しぶりのお散歩、秋日和の風が肌に心地よい。真夏の太陽は誰になだめられたというの。

そんなにひかえめになったりして、雲に隠れているのはひかりだけ、そう、わたしの影が少々おかしいのです。

 

どれどれ、よからぬものが潜んでおるな、それがしが成敗いたそう。

あのう、お侍さん、影に斬りつけるのですか。

そうじゃ。

おやめになったら、無駄骨ですから。

なにを言う、見れおれ、一刀両断で始末してやろうぞ。

お侍さん、早くお家に帰ってひと風呂浴びてはいかがでしょう。

そうじゃな。

案外、聞き分けがいいので驚いてしまいました。ついでに転んでしまいました。そして目が合ったのでした。

 

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「よろしかったらドライブにでも」

 

「いいえ、今日は予定がありますので」

 

度肝を抜かれたと、いいえ、さほど驚きはしませんでした。

少しばかり人生に嫌気がさしただけです。

今日は陸に上がる日なんですね。魚が出てきた日、たしかそんな映画があったような。

口先をとがらせていた割にはあっさり、

「はい、わかりました」

って、寝てしまいました。機嫌がよかったのでしょうか。わたしも気を取り直し、そろそろ帰って裏庭の柿をもいで食べようかなどと思案しておりますと、

「そこのお方」

なんて蚊の鳴くような声がうしろから聞こえてきます。

 

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「はい、どちら様で」

わたしの声にも生気がない。あとは黙っていました。

「すまぬが、スリップして仕舞うた。起こしてもらえないか」

と、きまり悪そうな口調で嘆願されたので、

「それはお困りでしょう」

わたしは手早く腹の土ぼこりを払い、横転した車のおもちゃをなぶるみたいな童心でもとの体勢にしてあげたのです。

「先を急ぐあまり、つい足を滑らせてしまい難儀しておった。まことにかたじけない」

そう言うとにんまり笑い顔をつくり、

 

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こんなふうにわたしを見つめていたのでした。

 

潮風が香る、陽が陰る、、、さきほどのお侍が恋しくなりました。

やはり心細かったのですね。

さすがに又ひと風呂とは口に出せなかったので、安全運転でお帰り下さいと言っておきました。

 

わたしは取り残されたのでしょうか。。。

 

ちなみに夢はいつもカラーです。

 

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