掌の小説 〜 百編
前作にて、わたしの掌編小説はちょうど百編を数えることになりました。
この記事のタイトルはもろ川端康成先生を意識しておりますが、先達の内容、質において到底比肩すべきであるはずもなく、ただ躍起になって書き連ねた末に数だけ合わせることが出来たというのが関の山で、甚だ不遜な気構えとしか言いようありません。
しかし、目標としてきたのはまぎれもない事実なのです。
ブログで小説を読んでいただくのさえ、少しずれているように思うところですし、ましてや読み切りではない、長編を延々と書き込むなんて所業は不届き千万、異端の蔑称を甘んじて受ける次第であります。
去年の夏からはじめたこのブログ、まったく初体験だったので、記事の載せ方さえ危ういまま、ただ漫然と色んな方の頁を繰っていただけの、星の意味もわからない体たらくでありまして、ダッシュボードにアクセス解析を見つけ了解したまではよかったのですが、誰ひとり訪れる気配はなく、たまにあっても片手の指先で間にあう程度、ヘルプをひも解きつつ、ようようコメントや星の数が示すものをのみ込めたのでした。
誰かの読者になるという方式をよく把握しておらず、相変わらず適当に写真と小説をアップする日々だったのです。
はじめて「あなたへのお知らせ」が赤く色づいて、星が灯されるとともに、コメント欄へ読者登録の書き込みを目にしたときの、胸の高鳴りは今でも鮮明に覚えております。
なるほど、こうやってつながっていくのかと腑に落ちた瞬間だったのです。
たしかこの写真がそうだったように思います。
なんとか相互読者までこぎつけ、そこから恐る恐る、目立ったコメントをされてる方のブログに訪問して、わたしも評価する側にまわれたのでしたが、まだまだ要領がいまひとつで、面白そうな記事に星をつけているだけでした。
ある日、猫のペーパークラフトを作っている、うら若き乙女らしきブロガーさんに初めてコメントを書いたところ、実際はこころ優しき紳士でありまして、そこに集うオリキャラというまったく未知の言葉と、人々の存在をまのあたりにすることになったのでした。
その御仁こそ、ほぼ毎日にようにやり取りをさせてもらっています、tcho5397さんhttp://tcho5397.hatenablog.com に他なりません。
あらためて、はてなブログの道案内をして下さいましたこと、感謝申しあげるとともに、その後交流を続けさせていただいております皆様へ、敬意を表したく思います。
どうも、ありがとうございました!! わたしは少しの間、休憩します。
百編くらいでへこたれたのかと言われそうですが、そうではありません。あらたに構想を練り直す為、心身のリフレッシュ、写真の撮影が理由です。
特に写真に関しまして撮り溜めはありますけれど、皆様の優れた作品を拝見しているうちに、相当刺激を受けてしまいました。(新しいカメラも欲しいのであります)
更新は休みますが、皆様のところへは訪問させていただくつもりですので、どうぞよろしくお願いします。
不肖、憲兵少尉、七生報国の気概にて必ずや戻ってまいります!はてなブログ万歳!!
そこで、これまた大変ぶしつけながら、書き溜めた百編のから満蔵自選を五作ほど紹介させていただきます。
すでにお読みになられた方もいらっしゃるので恐懼の至りなのですけど、新しい読者様には未読であると思われますので、時間の許されます限り、もし気が向きましたなら、お目を通されますれば幸いにございます。
◇自選五編
蛇女の怪
モダンロマンホラーと勝手に呼んでいる、あまり怖くない怪奇小説です。
スティーブン・キングが初期に試みた新古典主義と、往年のハマー・プロダクション映画を詰めこんでみました。
料理をつくる現場そのものを活写した作品です。名付けて「料理小説」ちび六もカメオ出演しております。
連載小説「化粧」の主人公である美代の外伝です。
淡雪のような雰囲気づくりを醸せれば、、、、生命のともしびを編み上げました。
梅月譚
擬古文を駆使した、怪しの境地への誘いです。
敬愛する泉鏡花氏の作風をわたしなりに解釈しました。
ナチスの高官だったゲッベルスに肉薄した歴史ものです。
ヒトラーとともに自決を遂げる最期の日を描いてみました。