化粧7

あの日のことはよく憶えているつもりだった。 陽子の家の光景を振りかえってみると、以外に一度しか足を踏み入れてないある部屋の調度類を瞬時に思い起こせたりした。 また当時の自分とさほど歳の開きがない望美の下の弟がずいぶんと幼稚で、いかにも傍若無人なふるまいで好都合の遊び相手だとばかりに駄々をこねては泣き…