肩に触れた黒髪は風にそよいでいるようであったが、澄んだ空気は動かないままじっとこの瞬間を愛でていた。孝之のこころにも凍結とは作用の違った揺るぎのなさが到来していた。それが寸暇であることはわかっていたし、通りすがりに鼻をつく芳香みたいなもの…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。