美の特攻隊

てのひら小説

2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

tcho5397さんとこのマレーバクを描かせていただきました!

猫好きのためのペパクラ日記 ~ 横浜ズーラシア1 http://tcho5397.hatenablog.com/entry/2014/01/27/204439 実物とは似ても似つかぬ代物になってしまいました。 とんでもない、へた絵の極地でございます。 まるっこい姿が可愛かったのに、昔の弁当箱みたい…

音楽

勿忘草

空気抵抗を反対にもてあそびながら時間の流れをそこに悠然とあらわしている光景は、微小な羽毛たちが神妙としてひかりの祝福を甘受している、あのまどろみの裡に見出す判然としない不安感を憶い出させる。 あたかも永劫に浮遊し続けるちいさな歓びが、無限の…

我に撃つ用意あり

突破口

そう、いつぞやのL博士にまつわる話しなんだがね、蛇女退治や、公開心霊実験みたいな内容ではないんだ。 心霊実験はさておき、蛇女事件はぼくが当事者といっても過言じゃないかったし、L博士の人物像というか、感性、少なからずも定置に据えたい性格、更に…

供物

やきめし

草木も眠る丑三つ時、窓の外は冷え冷えしているに違いない。 成瀬巳喜男監督の「めし」を観て、ほっとため息、もう一本鑑賞しようかなんて考えがうそ臭くよぎり、さっきから小腹が空いている実感が大きなうねりとなって押し寄せてきた。 明日は休日、しかし…

かいじゅう北斎

デッサン

shyness

まじわり

冬のひかりが遠い彼方にかがやいている。 一月の末に吹きぬけてゆく風は、時折思い出した気分をふくみながら二階の窓から部屋のなかへと訪れた。 両端に束ねられた亜麻色のカーテンから解放された、白いレースの透かし模様はやわらかに羽ばたくようにして舞…

思慕

フラグメント

一席おつきあいのほどを。 こう寒くなりますってぇと、ついつい出不精になりがちになりまして、まっ、外出をためらうのは仕方ありませんが、からだの動きも鈍ってくる、日曜なんざ寝たきりを決め込んでもかまいませんがね、休みの日に限って普段から放りっぱ…

仮眠

岬にて

それはまだ沈まぬ太陽を知っている朱に染まる夕暮れに始まった。 潮風にさらわれる娘の髪は空いっぱいにあふれる光を浴びて琥珀色にかがやいている。 茫洋とした夕空に寡黙な祈りを捧げた草原は、その草いきれのなかに安息を見いだしているのか、やや湿った…

愉楽

歯ごたえ

好奇心

冬の花火

今年の冬が過ぎれば、この町からしばらく遠ざかることになる。 結婚してから一年、新婚生活の妙味やらが色褪せるまではいかないにしろ、次第に安定したものへと落ち着いていくのは、成り行きにまかせれば当然なにがしらの陰りを呼び寄せることになってしまう…

雪人間

キセツ

タイムマシンにお願い~16(最終話)

「それであなたは少年を竹薮まで連れていったというわけですね」 薄暗い小さな部屋に煙草のけむりが充満している。自分を詰問している男はまだ青年らしく、油染みた容貌と妙に取り澄ました態度を持たない代わりに、口調は鋭いまま感情をあらわにした目つきで…

冬鏡

タイムマシンにお願い~15

「それならタコ焼き買ってあげるよ」 まるで己の腹具合を心得ている台詞に苦笑をこらえながら、そう答えると少年の顔がうっすら緩んだ。 ひび割れた鏡などではない、曇りさえ覚えぬ澄んだ瞳のために差し出された自画像であった。 「細道を抜けていこう」 ひ…

お年玉

タイムマシンにお願い~14

あの日からの記憶が模糊とした霧のなかに滞っているのは、いや、悪夢を忘れたい一心が貫かれたに違いない現実は、今となってみれば自分の生き方をしっかり腰と据えて回顧する試しがなかったように、日々の連鎖にすべてを託し、見るもの聞くもの、触れるもの…

カイジュウ

タイムマシンにお願い~13

潮風がわずかに入り交じっているのだろうか。浜辺を背に小学校へと向かった身はあたかも波の打ち寄せに、押し流される貝殻を演じているようで、肌寒さを感じることはない。 空洞に吹き込む風がことさら意志を秘めていないように。 逍遥とした風情であるなら…

路地