2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧
旅ではなかった。生まれ育ったまちだったから。ひと時だけ帰省しているようでもあり、もう長く住んでいるようでもあった。 散歩ではなかった。なにしろ、宵の口から指折り数えてみるとかなり夜が深まっている。 所用があったにせよ、今時分そぞろ歩ているの…
雑踏からはぐれた感情は置き忘れられてしまい、すでにその光景の中へと包まれていた。 都会の夕陽を背に十年以上を経てその空間に佇んでいる。 胸いっぱいにひろがった得体の知れない気持ちは、ときの推移に抗わず、一定の場所に立ち戻るために、滑走路のう…
わたしはほぼ毎夜、夢を見ます。 村上春樹氏は「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」と、語っていますね。なかなか言えそうで言えない言葉だと思いました。 夢の解釈やお告げはさておき、今日はよりすぐりの夢のお話をしてみましょう。 なんて、ひとの夢…
夏を夢見る。 部屋の中をしめやかにさせた陽の陰りに午後の衰退を覚えれば、うつらうつらとした意識は更に心地よく、このまま眠りに落ちていく軽やかさがかけがえのないようなものに思えてくる。 が、陽射しは白雲に暫しさえぎられただけで、海水浴場を輝か…