2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧
不思議な色合いのまちなかにいる。 紙芝居みたいにこじんまりとしていそうで思いのほか、にぎやかさは収まりつかない気配を仰々しく伝えてくれるので、胸の奥に温かいものが湧き出て来て、辺りを一通り見回した頃にはじんわりとした感情に包み込まれてしまっ…
頭上から鳴り響く爆撃音は勇ましいワーグナーの楽曲をより一層身近なものにしつつあった。 ベルリンの総統地下壕の強固な造りはソ連軍の肉薄を見届ける必要に駆られながら、どこかほど遠い位置をしめいていた。 ヒトラーの罵声は狂乱に裏打ちされいることを…
季節は思い出せません。しかし黴の匂いは今でもしっかり鼻に残っています。 夏の盛り、押し入れに畳まれた布団のなかへもぐりこむのは快適な遊びでないはず、とすれば小雨に煙る春さきだったのか、湿気が立ち退いてゆくのをどこか心細がっていた秋の頃なのか…
いつかの続きね、あら違うの、でもわたしがそう思うんだから別にいいんじゃない。 連続性は意識のほうにあるんでしょ。室温より冷蔵庫のなかが冷たくないってどこかで聞いたことあるわ、どれくらいの温度なのかなあ、缶コーヒー入れといたらホットにはならな…
熱帯夜、そうつぶやくといいなんて前にあなたから言われたことあったわ。 すると、魔法の呪文みたいに異国情緒を携えた時間が一瞬だけ訪れる、、、なるほど一瞬だけね、総天然色映画のワンシーン、南国の海と人気のない森林、暑気は払われているのかしら、た…
極寒地では室内より冷蔵庫のほうが温かいそうだ。窓を開けるのは自由だが冷気とは関係ない。 ここで私の語るべきこと、それはもうひとりの自己像をどう認めるかという、心構えの問題に他ならない。では早速窓と共にに奇妙な扉に手をかけてみよう。 ウィリア…
陰にこもった雨が降り続けているとか、午後の日差しが際立って秋めいているせいだとか、夕闇がせまってくるのをまるで深い洞窟へと踏み込んでいるように錯覚してしまうとか、虫の音がか細く仕方なく感じてしまうやら、別に季節がはぐくむ時間のうつろいによ…
一席おつきあいのほどを。 なんでございますな、ちまたでは草食系などと申します男子が増殖しておりますそうで、どうにもあたしらにはピンときませんがね、色恋を避けているって風潮ですから、世も末なんでしょうか、はたまた少子化を担うために人類がとち狂…
夜が更ければなにかいいことがあるのだろうか、なんて普段あたまに思い浮かんではこない考えが、薄ぼんやりしながら静まりかえった深夜の気配にとけ込んでゆく。 休日なので夕方近くまで目覚めつつもふたたび眠りおちるままでいたから、いつもに比べ遅く布団…