美の特攻隊

てのひら小説

2013-01-01から1年間の記事一覧

特急列車

長旅を期待しながら列車に乗りこむ風情は眺めるがわとて、ちょうど色づき始めた草花を愛でるふうに殊勝な心持ちへ傾くのだから、どうであろう、この身がすでに車窓のなかに座しているのであれば、それは景色が後方に流れゆくままにまかせた風の抵抗を関知し…

葉隠入門

美徳のよろめき

ミイラの恋

そりゃ夜目にも鮮烈だわな、白黒放送の頃テレビで観たおぼえがあるよ。たしか日本の番組だった。この間DVDボックスが発売されてたぞ。それより「事件記者コルチャック」全20話、ミイラ男もいいが、おれはあっちが気になって仕方ない。ホラードラマの金字塔…

盗賊

若きサムライのために

行動学入門

単線鉄道

鉄道の轍はどこまで行っても音響でしかないにもかかわらず、このように記憶の残像を呼び寄せてしまう加減は、、、祝福に包まれた光輝とも、災禍に圧しやられた苦渋とも異なる、がしかし、その双方を遠い彼方に想いかえしてしまう加減は、、、一体どこからこ…

鏡子の家

沈める滝

美しい星

ハードコアの夜

夕陽が染み込んだ感じはしなくもなかったけれど、この部屋とは無縁に、仕切られ、引かれた、ぞんざいな有り様だけでもカーテンは十分な役割を果たしていた。 外のネオンに織物の柔らかさで呼応しているのでもない、あえて言うなら、これから交わろうとしてい…

奔馬

金閣寺

赤いまぼろし

そういえば、最近コタツに当たったことがないわね。いや、去年の今頃だったかな、知り合いの家でほんの申しわけ程度に足の先を入れたっていうのはあったけど、ほら、ぬくぬくと胸元までもぐりこむようなのは相当まえの記憶よ。 第一背丈が違う、子供の時分は…

豊穣の海

ウミガメと僕

潮風が心地よかった。身をかすめゆく感触に午後の日差しがしみ入ったからでなく、右隣でギターを爪弾いく青年の柔毛が頬を撫でているのが、遠い異国から届けられた景色のように儚げで美しいからだった。 とりまいた子供らも口々に「きれい、きれい」とほめそ…

潮騒

Paul Weller

最近、ロック界で噂のザ・ストライプスですが、平均年齢17歳とは思えない堂に入った演奏ぶりは圧巻で、当たり前だけど、若さみなぎる疾走感は素晴らしい。 特に目新しい音楽性を有しているわけでもないのに、ビンビン伝わってくるものがあります。 R&Bのつ…

日曜日

庭球記

空は乾いていた。日差しは暮れがたのそれでありながら、のびやかな紅色にひろがって閑暇を持てあましていた。小鳥たちのさえずりが朝日を浴びてよく通るよう湿気は不服なく退き、木の葉を揺らしている。 広場に迷い込んだのは子供らであったのか、ぼくの視線…

午後の曳航

禁色

春の雪

仮面の告白

冬化粧

「へびは冬になるとあまり見かけないわね、夏とか家と山の間にあるコンクリート部分にいる。コンクリは涼しいのかなあ、木陰の湿気った土のほうが涼しそう、かなへびみたいなのが多いかな、アオダイショウは何回かみた、マムシはみてない、赤い模様のきれい…

愛の渇き

大いなる眠り

三つ数えろ

こたつ